2015年春 病院薬剤師がおすすめする花粉症対策はこれ!

NPO法人 機能性素材研究会 根津  良幸 先生

今シーズン春のスギ花粉の飛散開始は、気象庁の「2015年春の花粉飛散予測(第2報)」によれば、例年より早いところが多く、飛散数は前年の2~3倍と予測され、九州・四国・東海・関東地方など方は、特に早めの対策が必要です。花粉症は、日本人の約4人に1人と言われる「国民病」で、低年齢化傾向となっています。また子供さんへの対策も大切になっています。そこで病院薬剤師の根津良幸先生に「花粉症とは? 機能性素材での対策は?」についてお聞きました。

花粉症と風邪の見分け方、大きな症状の違いとは?

最もわかりやすいのは鼻水が水っぽいかどうかと目のかゆみです。何もしなくても垂れてくるような水様性の鼻水で目がかゆくなるようなら花粉症で2週間以上 続きます。対して、目にはかゆみがなく鼻水に粘り気があったり膿んだようになったりしたら、いわゆる風邪症候群で10日間ほど続きます。また喉が痛い、熱 が続くなども風邪の症状の特徴ですね。

花粉症と風邪

今まで発症していない人でも50%は「花粉症予備軍」と呼ぶのは、なぜですか?

花粉症が「発症」に至るには2つの段階を経ます。花粉の抗原(アレルゲン)が鼻や目の粘膜に侵入して、対抗する物質(IgE抗体)がつくられる準備段階が 「感作」と呼ばれる状態で、その後抗原(アレルゲン)が再侵入したときにIgE抗体と結びつき、アレルギー症状が現れ、「発症」します。

感作のメカニズム について、もう少し詳しく申しますと、まず鼻や目の粘膜に付着した花粉から抗原(アレルゲン)が溶け出し、粘膜に侵入します。体はこれを異物ととらえて IgE抗体をつくります。このIgE抗体が粘膜の肥満細胞(マスト細胞)に付着し、「感作」の状態になります。再度、抗原(アレルゲン)が侵入したときに アレルギー反応「発症」を起こす準備が完了するのです。そして、体内の花粉抗原に対するIgE抗体を持っている人が、「花粉症の予備群」と呼ばれます。ス ギ花粉症の疫学調査によると、スギ花粉のIgE抗体の保有率は50%前後とされています。そして、感作された人の30~50%が遺伝的な素因や居住地の大 気汚染、花粉飛散量などが引き金となって発症につながります。

化学伝達物質(ケミカルメディエーター)とは?

鼻や目の粘膜から再び侵入した抗原(アレルゲン)が、肥満細胞(マスト細胞)に付着したIgE抗体と結びついて、新たな「抗原抗体反応」を起こし、肥満細 胞から「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの物質が放出されて、アレルギー症状が現れてきます。この放出物質を化学伝達物質(ケミカルメディエー ター)と呼びます。
「ヒスタミン」は知覚神経を刺激し、くしゃみ中枢を介してくしゃみ発作を起こし、分泌中枢を介して鼻水を分泌させます。くしゃみと鼻水は一連の反応で、ど ちらも鼻に入り込んだ花粉を体の外へ追い出すための反応です。「ヒスタミンとロイコトリエン」は鼻粘膜の血管を刺激します。すると血管が拡張して鼻の粘膜 がはれて、鼻づまりを起こします。こうして花粉を含んだ空気を吸い込みづらくして、本来は体を守ろうとする反応のはずだったのですが、実際はデメリットの 方が大きかったのです。

花粉症の発症に関与しているIgE抗体の制御には、T-リンパ球(免疫細胞)の働きがポイントですか?

そうです。花粉の抗原(アレルゲン)に対してIgE抗体が反応する訳ですが、その反応指示をだすのがT細胞(免疫細胞の司令塔)です。ですからT細胞の働き正常化して向上させることが改善には必要です。

T細胞 と IgE抗体

T細胞の働きを正常化、向上させる機能性素材は、何ですか?

やはり、機能性素材GLA(γ-リノレン酸)です。GLAは、オメガ―6系に属し正常なT-リンパ球の作用に必要なプロスタグランジン E1(PGE1)を体内で産出します。プロスタグランジンE1(PGE1)は、T細胞の機能を向上させIgE抗体の低下調整、炎症を抑える働き血中コレス テロールの抑制、血小板凝固の抑制、悪性腫瘍細胞の成長を抑制に注目される物質です。今シーズンは、GLA(γ-リノレン酸)含有の機能性食品で花粉症の 症状をシャットアウトしましょう。

GLA含有の機能性食品

GLA(γ-リノレン酸)を配合した機能性食品は数多くあるが、その中でも月見草から抽出した、高濃度のGLAを使用した機能性食品が、いま最も注目されている。


花粉症で使う薬についての注意点を教えてください

鼻薬を使い続ける方は特に注意してください。鼻詰まりは「鼻の粘膜が腫れること」によって起こるので、鼻詰まりを解消するには「粘膜の腫れを抑えれ ば良い」という論法で、抗炎症作用を期待したステロイド剤と血管を収縮させる血管収縮薬が作られましたが、使い続けるとかえって使用前より粘膜がはれてし まう副作用があります。 これは「リバウンド」という現象で、点鼻薬の使いすぎでかえって血管が広がってしまう症状です。そういう状態で、さらに点鼻薬を使うと、自律神経のバラン スもおかしくなって、点鼻薬が効かなくなっていきます。また病院の先生が処方するお薬には、アレグラ・アレロック・アレジオンなどの内服の抗アレルギー薬 がありますが、眠気やのどの渇き、時には肝臓障害といった副作用のリスクが付きまといます。あまり長期に服用することは、お勧めできません。やはり副作用 が心配にならない機能性食品が自然で良いと思います。

花粉症を防ぐには?予防と治療法を教えてください

花粉症の方には復習になると思いますが、以下、覚えておいてほしい「予防法」が5つ!

 


1. 花粉症のピークが来る前から機能性素材を飲むことです。これらは効果が出るまで時間がかかることもあります。免疫力を高める「LBM(LEMBAPMAK)」やアレルギー抑制効果のある「GLA」、抗酸化作用のある「AST(アスタキサンチン)」などを積極的に摂取しましょう。鼻粘膜などの 炎症がひどくなる前から治療を開始すれば、炎症の進行を止め、重症化を防ぐことができます。


2. マスクをつければ、鼻に入る花粉の量を「3分の1」~「6分の1」カットできます!(厚生労働省の調べ)
ただ、マスクの場合「強風」が天敵です。強風で花粉が飛んでくると、マスクでは防ぎきれない花粉が増えるそうで、そうなると効果が弱くなるとのことなので注意して下さい。
そして、「一般的なマスク」とは違いますが、「塗るマスク」というジェルもあります。ネイザルガードを鼻の周りに塗るだけで簡単に花粉やハウスダストをブロックします。ネイザルガードをマスクの代わりにご使用いただき、1日を快適に過ごすことができます。
花粉症シーズン、外出時、運動前、お仕事中の時などマスクの様に顔を隠すこともなく様々なシーンでご使用可能です。対策の基本は、とにかく体に入れないことに尽きます。


3. 「帽子を被ろう」です。頭についた花粉は、頭を触った手などを介して目や鼻にもついてしまいますので、より効果的な予防策として、帽子を被ることをオ ススメします。またコンタクトよりはメガネがお勧めです。目に入る花粉の量を約3分の1に抑えてくれます。そして洋服も一般にウールなどの素材は花粉が付 着しやすく綿や化学繊維などは付着しにくいことも覚えておいてください。


4. 帰宅したら、必ず「洗顔」しましょう。特に「鼻の下」まで洗う人は少ないようですが、実は、鼻の下にも花粉はしっかりついていますので「鼻の下」はしっかり洗ってください。念のため「うがい」もおこなってね。


5. 紅茶、緑茶、ミントティーなど、茶葉のドリンクも試してみてください。人によって効果の違いはありますが、緑茶などのお茶に含まれている「カテキン」 や「ポリフェノール」は花粉症のアレルギーに効果的だと言われています。また緑茶だけでなく、紅茶やミントティー、ジャスミンティーなども、漢方の観点か ら効果があるドリンクです。

他に注意しなければならないことがありますか?

あとは体調を整えて、症状の悪化を防ぐ事です。ストレスで自律神経の働きが乱れると免疫力が下がり、花粉症もひどくなります。ストレスを和らげるには、十分な睡眠と規則正しい生活を心掛けて生活のリズムを整えながら、自分なりのストレス解消法を見つける事です。
それから風邪をひきやすい時期でもありますね。花粉症の人が風邪をひくと鼻の粘膜の炎症によって、花粉が付いた時の反応が激しくなり、症状が悪化してしまうので、手洗い、うがいなど風邪の予防も大切な事です。とにかく機能性食品で乗り切っていくのがベストです。

 

NPO法人 機能性素材研究会

根津  良幸 先生

昭和薬科大学卒業後、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の薬剤部係長を経て、現在ふれあい町田ホスピタル薬剤科に所属。明治薬科大学非常勤講師、漢方薬・生薬認定薬剤師、普通第1種圧力容器取扱作業主任者、ABH認定ヒプノセラピスト 。
所属学会など:日本薬学会、和漢医薬学会、神奈川薬剤師フォーラム幹事、神奈川中規模病院薬剤業務研究会世話人 。