日立セミナーが開催されました(講師:東邦大学薬学部 柳川教授)


梅雨入りしたのを忘れさせられるくらい、プールで遊ぶ子供たちの歓喜の声が響き渡り、夏の到来を感じさせられた6月13日(土)、茨城県日立市の「ホリゾ ンかみね」において、NPO法人機能性素材研究会から、東邦大学教授・医学博士の柳川先生をお招きして「薬の正しい使い方」と題しての講演会が開催されま した。

薬を止められるように生活習慣を変えていく必要

現在の日本の国家税収は年間42兆円で、医療費はその中の38兆円を支出しているのが現状です。今では国の借金は1千兆円を超えています。今後ますます少子化になっていき、空き家もどんどん増えて、100年後には江戸時代の人数になってしまうかもしれない現状をどうしたら良いのでしょうか?

それを打破するのには、まず、世界に目を向け、薬を止められるように生活習慣を変えていく必要があります。例えば糖尿病の人は甘いものを食べるタイミングを食後にし、先に野菜を食べてから、ゆっくり、少しずつ食べるようにするなど生活の見直しをして、薬を減らしていく個々の努力も必要です。また塩分摂取量は日本においては女性7g、男性8gとなっていますが、世界では5.5gだという認識を持たなければなりません。

余分な薬は“くすり”にあらず“毒”である

薬を飲むのが好きな方はおられないと思いますが、薬は化学物質です。大半の病気は自己責任ですから、病気にかからない工夫、治す努力をしましょう。薬は「毒を制して薬とする」 従って、余分な薬は“くすり”にあらず“毒”なのです。

免疫を高める機能性食品の摂取も!

加齢と共に免疫力が落ちて病気が増えていきます。だから免疫を高めることが重要になります。免疫を高めるには、若い人なら運動、食生活、睡眠、食事。高齢者は更に欠如したものの補充、免疫を高める機能性食品の摂取が必要です。

体の冷えは免疫低下を起こすので注意!

体温が37℃で免疫力が最大になり、36.5℃では免疫力が上がり、病気になりづらくなります。36.℃になると体が震えだし、アレルギー疾患になりやすくまた症状も出やすくなります。さらに35.5℃では排泄機能が低下、自律神経の失調を起こして体調不良になります(細胞分裂が停止し始めます) 体が冷えていると頭痛、肩こり、便秘、関節痛、生理痛、生理不順、無気力症状などが出てくるのです。

健康寿命を延ばそう

日本人の平均寿命は世界でトップです。しかし平均寿命と健康寿命の差が男性で9.18歳、女性で12.68歳もあり、100歳以上の寝たきりの割合は米国では35%なのに対し、日本では65%にもなっています。

東邦大学薬学部教授 柳川忠二 先生
東邦大学薬学部教授 柳川忠二 先生

薬の飲み方、塗り方について

薬は飲む時間によって効果が違うため、決められた時間と容量を飲む事が大切です。

例えば高血圧の方が晩酌する場合には、一般に朝、昼、夕に飲むのを、朝、昼、寝る前にしたほうが良いそうです。
また、抗生物質は途中でやめてはいけません。新たに薬が処方された場合は、観察を十分に行う事が大切です。外用薬の場合は、クリームと軟膏が同じ傷に処方された場合には、クリームを先に塗り、軟膏はその上に塗るのが良いそうです。

タバコを身の回りから排除しましょう

「タバコの怖さ」をよく認識しましょう。

タバコは2,000種類の化学物質、400種類の発がん性物質を含有しています。その結果、タバコで年間12万5千人が死亡しています。昨今は小学1年生からの喫煙も問題になっているというショッキングなお話もありました。

まとめ

先生の医学博士、薬剤師の立場からのお話を聴き、講演終了後には来場された方々からは薬の怖さ、薬を正しく飲むことの大切さについて理解できたとの感想が多く聞かれました。
そして何よりも病気に罹らない生活を送ること、予防の観点から機能性食品を積極的に取入れることが大切だと感じました。

(文: 芳賀陽子)